独自のクリエイティブな表現手段として注目を集めているZINE。
ZINEは小さな冊子や手作りの本、個性的なアート集として知られています。
ですがZINEは単なる印刷物以上のものです。
作り手の愛やこだわり、熱量を好きなだけ詰め込むことのできる最高の紙媒体が「ZINE」です。
クリエイターたちが自分たちの価値観や信念、メッセージを自由に表現し、他者と共有するための革新的な手段なのです。
ZINEには、誰でも気軽に作ることができるという魅力もあります。
この記事ではZINEの基本概念や定義、魅力、制作方法などを解説します。
目次
1. ZINEとは?ZINEの定義や起源
- ZINEはなんて読む?
- ZINEの定義
- 起源と歴史:ZINEの発展と変遷
- ZINEの種類
ZINEはなんて読む?語源は?
ZINEは「ジン」と読みます。
「Magazine(雑誌)」の“ZINE”が語源とされています。
ZINEの定義
個人やグループで作る小部数の冊子のことを言います。
しかしZINEにきちんとした定義はなく、作り手によっては「リトルプレス」や「アートブック」といわれたりもします。
言ってしまえば、作り手がZINEといえばZINEです。
ZINEの発祥 起源や発展したきっかけ
※ZINEの発祥・起源は諸説あります。
ZINEの起源は、1930年代の「ファンジン(Fan Magazine)」にさかのぼります。
当初、SF(サイエンスフィクション)ファンが自分たちの興味や情熱について独自の雑誌を制作し、他のファンと情報を共有する手段として使い始めました。
これらの初期のファンジンは、手書きや手作りの形態が主流でした。
その後1960年代に、ポップアートやカウンターカルチャーの影響を受けて、ZINEがアートや音楽、政治などの様々なトピックに拡がりました。
1980年代にはスケーターたちの間でZINEが流行しました。
そのきっかけを作ったのが「THRASHER MAGAZINE」です。
スケーターたちの間でZINEが流行った経緯については後日、別記事で解説したいと思います。
ZINEの魅力5つ
- 表現の自由度と柔軟性
- 手軽さ
- コレクション要素(希少性)
- プロモーションツールとして活用可能
- 非商業性
ZINEの魅力①表現の自由度と柔軟性
ZINEの1番の魅力は自由度です。
大手メディアや出版社の束縛から解放され、尖った内容やニッチなジャンルのテーマを選ぶことができます。
テーマだけでなく紙の種類や厚さ、大きさ、形、作り方など、作者の意図によって作品の雰囲気や伝えたい印象を細部までコントロールすることができます。
この自由度の高さこそが、ZINEの魅力です。
素人でも玄人でもどんな人でも自由にZINEを作ることができます。
あなたの表現したいものや、ただ好きなものを1冊の冊子に詰め込んでみてください。
ZINEの魅力②手軽さ
手軽さもZINEの大きな魅力です。
ZINEは誰でも作ることができ、作る側も手軽です。
出版社から本を出すのと比べると、手軽さは比べものになりません。
ページ数も少ないものが多いので、ZINEを見る人は短い時間でもサッと読み終わることができます。
イギリスではバス停やレストランや洋服屋さんの入り口に「ZINE」が積み重なっていたり、とてもライトにZINEが楽しめるような地域もあります。
思い返すと日本でも服屋さんの棚にA5サイズくらいのブランドのカタログが置いてあったり、WEGOやユニクロでは冊子が置いてあったりします。
ZINEの魅力③コレクション要素(希少性)
ZINEは小部数で作られることが圧倒的に多いです。
イラストレーターさんやアーティスト、ZINEを出版する会社の人気シリーズはあっという間に売り切れてしまい、2度と手に入らないということも多々あります。
ZINEは作る楽しさや見る楽しさの他に好きなアーティストの作品をコレクションする楽しさもあるというわけです。
例えば日本では「KYNE」というグラフィティ出身の現代アーティストのZINEが高額で取引されたりしています。
2万円や10数万円で販売されているものもあります。
▼KYNEについてもっと知りたい人はこちら
>>KYNEとは?プロフィールやこれまでの実績
ZINEの魅力④プロモーションツールとして活用可能
ZINEはプロモーションツールとしても活用できます。
WEGOやユニクロの冊子はまさにプロモーションの役割になっています。
イラストレーターやアーティスト、写真家などのクリエイターにとってZINEは、自身の作品やスタイルをまとめて紹介するのに最適です。
ポートフォリオとして効果的に活用でき、クリエイターの広範なスキルやテーマ性が分かりやすく伝えられます。
海外アーティストの例
ダニエルシェパードというメキシコ出身のイラストレーターは、自身のイラストを漫画風にしたりポートフォリオとしてZINEを活用しました。
その後彼は世界的に有名なストリートブランド「THRASHER」から仕事をもらい「THRASHER」アパレルのデザインに起用されました。
ZINEの魅力⑤非商業性
一般的な出版物、例えば雑誌が広告に依存する中、ZINEは純粋な表現と共有のために非商業的な側面があります。
商業性の少ない状態にあるZINEは、マネタイズや利益を重要視しないです。
広告主やスポンサーから解放されることで、作り手の興味や情熱に従って、自由に作ることができます。
なので大衆受けを狙わず、ターゲットが絞られたニッチなジャンルの作品が多いです。
この非商業性がもたらすアーティスティックで自由な表現は、ZINEの大きな魅力です。
ZINEの種類
ZINEには様々な種類があります。
あえて大きく分けるならば以下の3つの種類に分かれます。
- アート系のZINE
- 啓発系ZINE
- 記録系のZINE
それぞれを掛け合わせたような作品も多くあります。
※今回紹介する3種類はあくまでも一例であり無理やりカテゴリーを分けたものとお考えください。
ZINEの種類①アート系
写真やイラストを中心に作られたZINEです。
アート系の中でも面白いものからかっこいいもの、尖りすぎてよくわからない作品まで様々あります。
アート系ZINEの例
ZINEメーカーの管理人もアート系ZINEが中心です。
紹介したい作品は山ほどありますが、僕が初めて出会ったZINEであり初めて購入したZINEを紹介します。
ダニエルシェパードさんの「ROAD RIDER」です。
リソプリントと言われる日本発祥の印刷方法で独特な色合いと素敵なキャラクターが印象的な作品です。
- タイトル ROAD RIDER
- 著者 DANIEL SHEPARD
- 出版社 TINY SPLENDOR
日本での取り扱いは「Manila book&gift」さんと「KAKUOZAN LADER」だけです。
現在ROAD RIDERは売り切れています。
ダニエルシェパードさんの他のZINEは在庫があれば購入することができます。
ZINEの種類②啓発系
社会問題やセクシャリティなどをテーマにつくられたZINEです。
アート系や記録系のZINEに比べて、ページ数が多くしっかりした作りのものが多い印象です。
どんなものかイメージしづらいと思いますが、ZINE専門店に行く啓発系のZINEも多いので、興味がある人は是非ショップまで足を運んでみてください。
ZINEの種類 ③記録系
旅の記録やお店、食べ物を紹介するような作品です。
それぞれ様々な着眼点で旅行やお店、食べ物の記録や紹介をしていて想像以上に個性的なものが多く面白いです。
例えば以下のような作品。
3. ZINE制作「ZINEの作り方6ステップ」
- ZINEのテーマを決める
- ZINEに使う素材を用意する
- ZINEのサイズを決める
- ZINEの編集をする(デザイン・データを作る)
- ZINEを印刷する
- ZINEを製本する
ZINEの作り方6ステップについては別記事で詳しく解説しています。
4.ZINEショップ紹介「.ZINEはどこで買える?」
ZINEを取り扱っている店舗やZINE専門店は日本にもあります。
別記事でZINEを購入できるショップを13店舗紹介しています。
BASEやメルカリなどでZINEを販売している人も多くいます。
zineのオンラインショップ
- MOUNT ZINE
- C7C gallery
- stock books & coffee
- SALT AND PEPPER
- Manila Books & Gift(インスタのDMで注文可能)
- ON READING
上記以外にも実店舗を持つショップのほとんどはオンラインショップも運営しています。
僕もBASEでZINEのオンラインショップを運営しています。
作品数は少ないですがよかったら覗いてみてください。
定期的に開催されているZINEイベント
- Tokyo Art Book Fair(東京都)
- 港町アートブックフェア(愛知県)
- 吉祥寺ZINEフェスティバル(東京都)
- TINY ZINE(東京都・大阪府)
- ZINEフェス(全国)
- zine it(宮崎県)
などZINEイベントは他にも沢山あります。
無料のイベントが多いのでお近くの方は是非ZINEやアートブックのイベントに足を運んでみてください。
以下の記事で日本のZINEイベントを紹介しています。
実際にZINEが集まっている場所を見るのがおすすめ
この記事では、「ZINEとはなにか」、「どんな魅力があるのか」について詳しく解説しました。
イベントやショップでZINEが集まっている場所に足を運べばきっとZINEの魅力をそれぞれ感じてもらえると思います。
記事内で紹介したZINEイベントや別記事で紹介しているZINEショップに足を運び是非ZINEの世界に触れてみてください。
【宣伝】オリジナルZINE
BUFF
グラフィティが消された後の写真を集めたZINE
サイズ:A5
ページ数:20ページ
Sticker Art #2
沖縄の街で撮影したステッカーの写真を1冊のZINEにまとめた作品。
サイズ:A5
ページ数:20ページ